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ビジネスローンを利用したくても、審査に通らなければ利用することができません。では、ビジネスローン審査ではどのようなポイントが審査されるのでしょうか?今回はビジネスローン審査の審査基準について解説します。
ビジネスローン審査の審査基準
1.決算情報
ビジネスローンで一番重要視されるのは決算情報と言っても過言ではありません。
決算情報は、会社の成績表であり、ごまかすことのできないお金の流れが記載されています。ビジネスローンの審査の大部分は決算情報で決まってくると言っても過言ではないのです。
決算情報と言っても、色々な指標がありますか、何が重要視されるのでしょうか?
純資産
と
フリーキャッシュフロー
です。
純資産とは
会社の資産総額から負債総額を差し引いた金額のこと
を言います。
仮に融資をした企業が返済が滞ったとしても、純資産がプラスであれば、その資金を返済に充てることができ、ビジネスローン会社はお金を回収できるからです。
純資産が大きい企業ほど、貸し倒れ率(デフォルト率)を抑えることが可能になります。
フリーキャッシュフローとは
会社が稼いだお金から、会社が活動するのに必要なお金を差し引いた余剰資金のこと
を言います。
「毎月、いくら余剰資金が作れるのか?」 = 「余剰資金が返済に回せる金額」
ということになるので、ビジネスローン審査ではフリーキャッシュフローを重視することになります。
営業利益・経常利益とは違うの?
営業利益や経常利益も、フリーキャッシュフローに近いものですが、厳密に言えば違います。
例えば、減価償却資産を購入している場合に、損益計算書上では減価償却分は経費という形で引かれるため、営業利益や経常利益は小さくなります。
しかし、実際に減価償却にはお金の支払いというのは発生しないので、フリーキャッシュフローは大きくなり、借りられる金額も増えるのです。損益計算書上は赤字であっても、減価償却があってフリーキャッシュフローがプラスであればビジネスローン審査には通る可能性が出てくるのです。
また、投資による利益は営業利益にはなりませんが、フリーキャッシュフローでは組み込まれます。
このように「営業利益・経常利益 = フリーキャッシュフロー」ではないのです。
ビジネスローンでは「フリーキャッシュフロー(作れる余剰資金の金額)」=「余剰資金が返済に回せる金額」として審査をするため、フリーキャッシュフローは審査の可否とともに「いくら借りられるか?」にも直結してくる指標なのです。
2.事業歴
どんなに大きなフリーキャッシュフローが生まれていても、起業して1ヶ月だけの結果では、その後同じようなキャッシュフローが生まれるとは限りません。
ビジネスローン審査では、何年経営を継続しているのか?という事業歴も重視されることになります。
事業歴は長ければ長いほど信頼性の高い会社ということになり、ビジネスローン審査に通りやすくなるのです。
そもそも、必要書類が「2期分の決算書」となっているビジネスローンの場合は、「事業歴が2年経過していないと貸せないよ。」と言っているのと同じことなのです。
個人事業主の場合も、事業を始めてからの経過年数が「事業歴」として審査されることになります。
3.信用情報
ビジネスローン審査では
「いくら利益が出ているのか?」
「何年事業をしているのか?」
に続き、重要になるのが
「他の銀行や金融機関からいくら借りているのか?」
「他の銀行や金融機関に対して返済遅延や返済事故はないか?」
です。
銀行や金融機関が一番危惧するのは「貸し倒れ」「不良債権化」です。
「他の銀行や金融機関からいくら借りているのか?」であれば、融資可能額が他社借入よりも大きければ、ビジネスローン審査は通りますが、他社借入件数が多ければ多いほど、資金繰りに困っている会社だと判断されてしまうので、ビジネスローン審査の評価は下がってし合います。
「他の銀行や金融機関に対して返済遅延や返済事故がある」場合には、同じように自分たちが貸したお金を返してくれないリスクがあると判断されてしまって、審査に通らない可能性があるのです。
法人の信用情報は
- 帝国データバンク
- 東京商工リサーチ
- 法人信用情報(JICC)
などが審査時に照会され、チェックされるのです。
4.資産額
ビジネスローンの場合は、無担保で借りられるローンなので、売掛債権や不動産、手形といった現金化できる資産の有無というのは直接的な影響はありませんが、ビジネスローン審査では資産は大きければ大きいほど、貸し倒れリスクが低いと判断されるのです。
返済が滞ったとしても、資産を売却すれば返済資金にすることができるため、資産はないよりもあった方が、ビジネスローン審査にはプラスに働くのです。
ただし、「すでに抵当権・質権がついている(他の借入の担保になっている)」場合は、資産としての評価はなくなってしまいます。
ちなみに事業融資を専門に行っている金融機関のビジネスローンに申込んだ場合に、担保になる資産があると金利を低金利にする代わりに担保をつけて融資する「不動産担保ローン」「売掛債権担保ローン」をすすめられるケースもあります。この場合は、金利が低金利で、審査が通りやすい代わりに返済ができなければ担保を失ってしまうので、慎重に検討しましょう。
5.税金の納付
ビジネスローン審査は銀行融資と同様に「税金の未納」を嫌います。
なぜ、「税金の未納」を嫌うかと言うと、税金の支払いは他の債権に優先して取り立てられてしまうからです。
税金等の債権は,他の債権よりも優先的な地位に置かれています。そのため,破産手続における弁済・配当において,他の債権よりも優先した支払いが行われるのです。
つまり、会社が倒産した場合に、残っている資産を債権者で分配する前に、国が税金分を先に取っていくのです。
融資をする銀行や金融機関にとってみれば、税金の債権が多く残っている法人や個人事業主に融資をするのは貸し倒れリスクが高くなるのです。
税金未納でも利用できるビジネスローンもあるので、「税金未納 = ビジネスローン審査落ち」というわけではありません。審査評価が低くなるということです。
6.事業内容
ビジネスローン審査では事業内容というのは考慮されるものの、それほど重要視されるものではありません。
しかし、ローンカード型のビジネスローンの場合、スコアリングシステムで業種・業態なども審査の対象になります。
倒産しやすい業種、倒産しにくい業種というものがあるからです。
クリニックや弁護士事務所など経営下手でなければ、倒産せずに売り上げを作ることが可能な業種もあれば、インターネット関連企業のように大成功する会社とすぐにつぶれる会社が二極化するような業種もあるのです。
スコアリングシステムでは、過去の実績データに基づいて、どの業種だと貸し倒れリスクが高い、低いというのが点数化されるのです。
ビジネスローンの場合は銀行プロパー融資と異なり、事業内容や競合調査、将来性、独自の技術などは審査にはあまり加味されないのです。
7.経営者本人の信用情報
法人の信用情報の場合は、法人が法人名義で借り入れをしている情報がチェックされます。
しかし、法人経営者の場合は、経営者本人も連帯保証人になるため、金融機関は経営者個人の信用情報も当然のように調査するのです。
「法人信用情報がきれいだったとしても、経営者本人は借金の返済遅延を繰り返している」というのでは、連帯保証人の役割を果たさないため、ビジネスローン審査も通らなくなってしまうのです。
8.経営者本人の考え方、身なり、性格など
事業融資型のビジネスローンの中では、面談で審査をするビジネスローンもあります。
今は、ネット申込、ネット完結のローンカード型のビジネスローンが多い為、ビジネスローン審査での重要度はかなり低くなっているのですが、面談で審査をするビジネスローンに申込む場合には、経営者本人の印象なども審査に加味されるということを忘れてはいけません。
決算情報などの数字だけで決まるわけではないのです。
経営者の考え方、将来性、競合他社からの優位性の捉え方、資金使途、几帳面さなど、面談の審査では銀行プロパー融資と同様なポイントが見られていると考えましょう。
まとめ
ビジネスローン審査は前述した審査基準を元に金融機関が審査を行います。
金融機関によって、どの項目を重視するか?どのぐらいの重要度にウェイト付けするか?はことなります。
同じ経営状態であっても、
- ビジネスローンA社 審査落ち
- ビジネスローンB社 審査落ち
- ビジネスローンC社 審査通過
というケースは往々にしてあるのです。
ビジネスローン審査では
- 決算情報
- 信用情報
- 事業歴
がとくに重視されるため、日頃の経営のときも、これらの数値が良くなるように心がけておく必要があるのです。